【アニメーター絵本】二木真希子『世界の真ん中の木』
アニメーター絵本と謳っておきながら、文庫サイズの絵物語の紹介です。

『アニメージュ文庫 世界の真ん中の木』
作:二木真希子
出版社:太平出版社
刊行年:1989年
現在は800円+消費税、発売当時は420円でした。ロングセラー商品は価格もどんどん上がっています。
あらすじ…世界の真ん中にあるという一本の大きな木の根元に住んでいる少女シシは、〝伝説の金色の鳥〟を探しに、その木に登ることを決意する。宮崎駿監督の主要スタッフ作品。
作者は二木真希子さん。テレコム出身で、スタジオジブリ作品を中心に活躍されました。動物描写に定評があり、有名なのでいうとラピュタ序盤の鳩の餌やり、トトロの「オジャマタクシー」のところなど。
以下、宮崎駿監督のあとがきより引用
視覚だけでなく、触覚を表現しようとするのが、二木さんのアニメーションの特徴だと思います。人間以外の生きものに強い関心とするどい観察力を示す彼女の感受性のアンバランスは、長所とも短所ともいえるのですが、私たちの映画では貴重な存在に彼女をしていることは間違いありません。
ー『アニメージュ文庫 世界の真ん中の木』宮崎駿さんのあとがきより
自然物の描き方にも、リアルと漫画的な愛らしさのバランスが素晴らしく、アニメ界の熊田千佳慕ともいえる存在であったように思います。また、アニメーターらしいエフェクトの描写や動きの一瞬を切り出した臨場感のあるカットはさすがです。
2016年に58歳で亡くなってしまいますが、その後復刻の動きもあり、2018年のピスケシリーズ復刻に続いて本書はサイズが2倍のA5版となって新装刊行されました。

『世界の真ん中の木 愛蔵版』二木真希子(2019年)復刊ドットコム
文庫版にあった宮崎監督のあとがきは新装版にはありませんが、大きな絵で文庫未収録カットも巻末に収録されています。新たに購入する場合はこちらもおすすめです。